憧れだったNSR250R SP(MC21)と再会。今だからこそ手にした夢のバイク

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NSR250R SP(MC21)が納車されました。

ついに――念願の「NSR250R SP(MC21)」が納車されました。

このバイクに跨った瞬間、10代の頃の記憶が一気に蘇ってきました。あの頃、バイク雑誌を何度も読み返しては、NSRのページを食い入るように見つめていた自分。教習所の帰り道、コンビニで立ち読みしては「いつかはNSRに乗ってやる」って、小さな胸を熱くしていた自分。そんな昔の自分と、今の自分が重なって、不思議とこみ上げてくるものがありました。

今回納車されたのは、SP(スペシャル)グレード。乾式クラッチ、マグホイール、そしてノーマルチャンバーという、2ストファンなら誰もが惹かれる仕様です。カスタムももちろん魅力ですが、「ノーマルでここまで完成されている」というのが、このNSRのすごいところだと思っています。

見た目はクラシックなレーサーレプリカ。でも、キックを踏んでエンジンがかかるあの瞬間、軽やかな排気音とともに目が覚めるような感覚。鼓膜を通して「2ストの時代」が今でも生きていることを感じさせてくれます。

アノ人からの紹介

きっかけは、ある日X(旧Twitter)でふと流れてきた一台のNSR250R SP(MC21)の投稿。「え? この個体…本物じゃないか?」そう思ったのも束の間、すでに“アノ人”が水面下で交渉を進めていたことを知りました。その人は、2ストの世界ではちょっと名の知れた存在。私にとっても信頼できるバイク仲間であり、今まで何台もの名車を繋いでくれた“案内人”のような存在です。

「猫舌さん、今回はあなたに譲る段取りにしておいたから」――この一言で、すべてが動き出しました。

整備歴のある彼だからこそできること。納車前にはきちんと整備を施し、「普通に走れる」状態にまで仕上げてくれたのです。そして何より驚いたのは、この車両の状態――なんとワンオーナー・実走行2000キロ台という、ほぼ“新車”に近い個体だったこと。

SPグレードで乾式クラッチ、マグホイール装着、そして希少なノーマルチャンバー&ロスマンズ純正外装という完璧な仕様。まさに「当時のまま」時を止めていたかのような姿です。

もちろん、30年近く経っているだけあり経年劣化はありますが、それも含めて“歴史を背負った機械”。それでも始動性もよく、走行も安定しているのは、さすが世界のホンダというべき信頼感。パーツに関しても、純正・社外ともにまだ入手可能なものが多く、維持にそこまで不安はありません。

この出会いは、偶然なんかじゃない。アノ人の一言と、タイミングがすべて噛み合った、まさに“導かれた一台”だったのです。

NSR250R SP(MC21)の魅力

NSR250Rという名前は、2ストバイクの世界では“王者”のような存在。中でもこの「SP(スポーツプロダクション)」グレードは、ただのNSRではありません。“本気”で走るために、そして“勝つ”ために作られた、ホンダの技術の結晶です。

まず目に飛び込んでくるのが、このロスマンズカラーの純正外装。レプリカや再塗装ではなく、「当時そのまま」の姿を今に残すというだけで、もはや奇跡といえるレベル。色味の退色も少なく、ステッカーの位置も純正そのまま。タンクの塗装も艶やかで、光に当たるとほんのりとパールが浮かび上がる――そんな繊細な“時代のデザイン”を感じることができます。

乾式クラッチはSPの証。エンジンをかけた瞬間、シャラシャラと響くその音は、走り出す前から気分を高めてくれる存在です。湿式とはまったく違う“メカニカルな音”が、まるでバイクが語りかけてくるような感覚。クラッチミートもカチッとしていて、感覚がダイレクトに伝わる。まさにレーサーの操作系。

そしてもう一つのSPならではの特別装備、マグネシウムホイール。軽量かつ高剛性で、旋回性に優れたこのホイールは、サーキットのタイムを縮めるための装備ですが、公道でもその“違い”は明らか。ハンドリングがとても軽く、入力に対してバイクが素直に応答してくれます。

極めつけはノーマルチャンバー。現在では社外チャンバーに交換されている車両がほとんどの中、この車両は奇跡的に純正を維持。純正チャンバーならではのバランスの取れたパワー感と、音質の柔らかさは、今となってはむしろ“贅沢”です。全域で扱いやすく、街乗りからワインディングまで「気持ちよく走らせてくれる」一台。まさに、“素直で乗りやすいのに、速い”。

MC21のフレーム構造やサスペンションも含め、ホンダが本気で作り込んだ2ストマシン。乗って初めてわかる、引き算の美学。そして、何十年経っても「古さ」を感じさせない完成度。これは、ただの旧車じゃない。時代を超えて愛される“完成されたマシン”なんです。

実際に乗ってみた感想

納車後、まず最初に感じたのは――とにかく素直で乗りやすいということ。

「2ストってピーキーで扱いづらいんじゃないの?」そんなイメージを持たれている方も多いと思いますが、このNSR250R SP(MC21)はまるで別物。
低速でも破綻せず、スロットルの開け方次第で実にフレキシブルに応えてくれます。

キーをONにして、キックを数回。2スト特有の軽快なエンジン音が目を覚ますと、乾式クラッチのシャラシャラという機械音がすぐ横で囁くように響きはじめます。
思わず聞き惚れてしまうこの音――これこそがSPの証。そして、心を掴んで離さない“音のごちそう”。

走り出すとまず感じるのは、軽さ。マグネシウムホイールの効果もあるのか、交差点を曲がるときのハンドリングがとても自然で軽快。
バイクが体の一部のように反応してくれて、「これが本当に30年前のバイクか?」と疑いたくなるほど、完成度の高い動きです。

中低速は非常に扱いやすく、「慣らしが終わったばかり」のような極上エンジンが、まるで新品かのようなスムーズさを見せてくれます。
2000キロ台という奇跡的な走行距離が、ここにきて本領を発揮しているとしか思えません。

そして高回転域――ここがやっぱりNSRの“本気ゾーン”。
スロットルを開けた瞬間、パワーバンドに入ると豹変する。
怒涛の加速感と共に、「キュイーン」と甲高く響く排気音が背中を突き抜ける。
まるで当時のレーサーに乗っているような錯覚さえ覚える瞬間です。

それでも決して暴れないのがこのNSRのすごいところ。
車体の剛性感、足回りのしなやかさ、ブレーキのタッチ――
すべてが絶妙にバランスされていて、ただ速いだけじゃない「安心して楽しめる速さ」がそこにあります。

当時の憧れと今叶った思い

学生時代、NSRはまさに「バイクの王様」でした。

レーサーレプリカ全盛期のあの頃、雑誌で見たNSRに心を奪われつつも、手を出す勇気がなかった。

当時の空気として、ネイキッドバイクが人気で「レーサーレプリカはオタクっぽい」と言われる風潮もありました。
ZRXやXJRといったモデルが主流で、実際に自分が選んだのもZRX400。
周囲の目や維持の不安から、憧れのNSRには乗れなかった。

それでも、どこかでずっと心に残っていたNSRへの憧れ。
時間が経ち、2ストの魅力に再び目覚めた今、「もう一度、あの夢を手にしたい」と思えるようになった。

こうして巡り会えたNSR250R SP(MC21)。
乾式クラッチの音が隣で響き、ロスマンズカラーのタンクに手を添える自分がいる。

あの頃は叶えられなかった夢。今だからこそ、ちゃんと向き合える形で、ようやく手にすることができました。

まとめと今後の計画

このバイクと付き合っていく上で、まずはしばらくノーマルのまま乗り続けようと思います。

走らせ、感じ、NSRというマシンの素性をきちんと理解したうえで、自分なりのカスタムに少しずつ着手していく予定です。

といっても、大幅にいじるつもりはありません。
あくまで“ベースの良さを引き出す”ためのカスタム。
例えば、ポジションの微調整、レバーやステップのフィーリング向上など、
乗りやすさと快適性を高める方向で、控えめに仕上げていけたらと思っています。

NSR250R SPという完成されたマシンと、丁寧に、長く付き合っていきたい。

ツーリングやサーキットもいいけれど、何気ない日常の中で
「ああ、やっぱりこのバイクで良かった」と思えるような存在になってほしい。

この出会いに感謝して――
NSRとの時間を、大切に育てていきます。

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